小児科医からこれだけは言わせて

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ライフラインが絶たれているとき、赤ちゃんへの授乳ってどうしたらいいの?

今夏の台風15号、台風19号の被害は甚大なものとなってしまいました。
大雨、洪水に伴う被害に合われた方には、心よりお見舞い申し上げます。
各地の水害状況が連日報道される中で、気になることがありました。
 
ライフラインが絶たれ、電気もガスもなく、清潔な水が十分に手に入らないとき、赤ちゃんたちが低栄養になってしまうリスクがあるはず。どんな対応されているのか?実際に災害時にどのようなことが想定されて、どういった対策があるのか?
 
そんな疑問を持ったため、ちょっと調べてみました。

今回はIFEコアグループが作成した、「災害時における乳幼児の栄養」、「赤ちゃん防災プロジェクト ~JAPAN PROTECT BABY IN DISASTER PROJECT~ 災害時における乳幼児の栄養支援の手引き」を参考文献として記載していきます。ネット上に公開されて誰でも見ることができるため、原文を読みたい方は下記のリンクからご確認ください。
 

災害時に赤ちゃんをまもるには

 
まず第一に赤ちゃんにとっての最良の栄養源は母乳です。お母さんが疲れてしまって母乳が少なくなったり、一時的に止まってしまうこともあります。特に災害時には避難所などの自宅以外の落ち着かない場所で不安な気持ちがある中そのような事態となってしまうことは自然な反応かもしれません。
とにかく、周りの人で協力してお母さんと赤ちゃんにとって少しでも安心して授乳できるプライベートな空間を確保しましょう。
 
どうしても母乳不足や疲労が溜まってきてしまった際には粉ミルクや液体ミルクを使うことも大事になってきます。
 

①災害時の栄養問題

 
妊婦や授乳婦には食事をしっかり食べてもらうことが大事です。
これまでの報告からは、
①食事回数が減る
②摂取エネルギーが減る
③食材の偏りがでる
④脱水症状
これらが問題となってきます。
 
避難所ではビタミンやミネラル、食物繊維やタンパク質が不足する場合があります。
栄養ドリンクや調整食品(バーやゼリーなど)野菜ジュースや雑穀米、ビタミン剤での補充も重要です。意識的に上記のものを摂取し、水分も十分に飲んでください。
 
また、塩分が多くなってしまう傾向にあります。むくみなどの症状が出る場合には、塩分摂取量を控えることも大事です。
 
食中毒も問題となりえます。食物には直接触れず、袋ごと持って食べたり、清潔な食器での食事を心がけてください。
 
 
エコノミークラス症候群について
足の太い静脈に血栓ができて、それが肺に飛び、詰まることで呼吸障害をきたし、生命の危機に至ることもあるエコノミークラス症候群にも注意が必要です。
ずっと座っていたり、足を動かさないと血栓ができやすいです。こまめに歩いたり、ストレッチをしたりすることは非常に重要となります。
 
 

②乳児の栄養

 
感染症の予防の観点から母乳が進められています。母乳栄養をもともと続けていた場合には、継続することが大事です。
一時的に出なくても、おっぱいを吸わせることで母乳が再度出てくることもあります。
 
赤ちゃんとのスキンシップ、ストレスの軽減にも授乳は大事です。ただ、お母さんにとって負担が大きかったり、体調が悪くなってしまった場合には無理しないようにしてください。
赤ちゃんの元気度、尿便の回数を確認してください。おむつがしっかり濡れるような尿が①日⑥回以上出ていれば母乳は十分です。
 
 
お母さんから見て、赤ちゃんの様子に元気がなくなってきたり、尿回数が減ってきてしまった場合には、母乳代替食品(粉ミルクや液体ミルク)の使用を考慮します。
もともと母乳栄養だったお子さんにいきなりミルクを開始すると心身に影響が出る場合もあるため、安易にミルクを進めることは避けるほうが良いと記載されています。
液体ミルクは災害時に保存している自治体も多いとのことです。調乳の必要がなく、清潔に飲ませることができるため、災害時には非常に有用な乳児の栄養となります。
 
  • 粉ミルク
飲料水(軟水)が必要です。ミネラルウォーターであれば国産のものを使用し、給水車からの水はできれば当日のものを使用してください。
水が沸騰したあと70度以上のお湯で長入することが勧められています。
調乳後の粉ミルクはすぐに飲ませ、余ってしまった場合にはすぐに処分してください。
 
  • 哺乳瓶と乳首
炊き出しの調理が可能となったら、哺乳瓶・乳首の洗浄、熱湯消毒を必ず実施しましょう。赤ちゃんの安全を守るため、この操作がとても大事となります。災害時のため、使い捨て哺乳瓶や乳首を使用することも選択肢の一つです。
 
  • 液体ミルク
2018年から、日本国内での液体ミルクの製造販売が可能となっています。
期限表示、包装の破損などないか確認し、赤ちゃんに飲ませる前に製品音色味や匂いを確認してください。哺乳瓶がなければコップ、スプーンでも授乳可能です。
カップフィーディングと呼ばれる、縦抱きで飲ませる方法もあります。時間は哺乳瓶よりかかりますが、哺乳は不可能ではないことを知っていただけると幸いです。
こちらも飲み残しは必ず処分してください。
 

③乳幼児の栄養

離乳食は避難所で最も困る問題かもしれません。
月齢に応じて対応が変わります。
5-6ヶ月:ミルクで対応
7-11ヶ月:お粥で対応
12-18ヶ月:ご飯で対応
普段食べさせていた離乳食と同じような硬さのものを与えましょう。
食器の消毒にも注意が必要です。
 

④特別栄養食品ステーション

災害時などには、特殊栄養食品ステーションという、非常時の食事を届けるためのエリアを設置するそうです。
アレルギー食品や母乳代替食品、離乳食を被災者へ届ける仕組みです。こちらが設置されているエリアに関してを報道などを通じて確認することが大事です。ぜひ相談してみてください。
 

最後に

何より大事になってくるのは、「母乳栄養のお子さんは、母乳栄養を続けられるようにする」ということです。避難所の中でも妊婦のためのプライベートエリアを設けたり、周囲のサポートが非常に大切となってきます。
また、「災害時のための備蓄を行政が整える」ということも重要です。ミルクが不要な子に無理に飲ませる必要はないことは留意しなければなりませんが、備蓄しておくことで乳児の安全を確保することができるのであれば、準備するに越したことはありません。
 
東京都からも紹介動画が上がっています。
1分間の短い動画です。 気になる方、是非チェックしてみてください。
 
ここまで読んでくださってありがとうございました。
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これからも小児の疾患に関して、シンプルにわかりやすく記事を書いていこうと思います。
よろしくお願いいたします。 
小児科医あきらでした。