こんにちは小児科医あきらと申します。
本日は気管支喘息に関してご説明します。
まず、大事なことを一番初めに記載しますのでご確認ください。
下記のような強い気管支喘息発作の目安が出現した場合に、自宅で即効性のある気管支拡張薬があれば使用し、なければすぐに近くのクリニックを受診してください。夜間で近くの救急外来の場所がわからなければ、地域の救急相談センターに連絡してください。
強い発作のサイン
・息を吸う時に小鼻が開く(鼻翼呼吸)
・息を吸う時に胸がベコベコ凹む(陥没呼吸)
・爪や唇の色がいつもと違って白っぽい・または青っぽい
・脈が全速力で走った後のように早くなっている
・単語で切れるような話し方をする
・歩けない
・横になれない 眠れない
・意識がはっきりしない
・過度に興奮する
以降は①定義 ②原因 ③症状 ④治療 ⑤治療後の見通し
にわけてお話しようと思います。
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定義
気管支喘息とは、気管支内の粘膜の慢性炎症であり、発作的に気管支が狭くなって呼吸苦を生じる、反復するアレルギー性疾患です。
慢性の反復する疾患であることを知っておくことは重要です。
小児ではアレルギーの家族歴があると起こしやすいと言われています。
よく、救急外来で「もしかしたら喘息かもね、とかかりつけの先生に言われている」という方のほとんどが、経過を聞いてみると気管支喘息の診断がつく、というケースが多いです。慢性の炎症疾患であるということは、基本的に治療は長期に及ぶことがあります。
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原因
ダニ、ハウスダスト、ペットの毛、花粉、カビなど、身の回りにある抗原に対してのアレルギー反応を持っていると、繰り返し吸入することによって慢性的な炎症が気道内部に起こり、がむくみ、喀痰が多くなります。
この過敏になった気道に更に抗原となる物質が入ってきたり、感染や気象条件、運動、タバコの煙、大気汚染、ストレスなどのきっかけが加わると、気道の末梢部分が締まって空気の通り道が狭くなり、「気管支喘息発作」と呼ばれる発作に繋がります。
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症状
息を吐くときにヒューヒュー、ゼーゼーとした音がするようになります。この音を医学用語で「喘鳴」と呼びます。
また、先に述べたように喀痰が増えてきたり、横になれなかったりすることがあります。
呼吸不全の持続は緊急性が高いため、最初に示した強い発作のサインが見られた場合にはすぐに医療機関の受診をおすすめいたします。
発作は夜間から朝方にかけて出現してくることが多いので、夜間受診が必要となる場合があります。喘息の診断に至っているお子さんがご家族にいる場合、かかりつけの先生に相談することはもちろんですが、近くの小児科の夜間救急を確認しておくことも重要です。
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治療
初期対応:
発作が起こったら、まず、発作止めの吸入薬を使用します。自宅に薬がない場合には直ちに病院を受診してください。
強い発作出ない場合には、発作止めの薬を吸入、もしくは内服し、吸入の場合には15分後、内服の場合には30分後に症状を確認し、変化がなければ病院へ受診してください。
良くなったとしても、長期的コントロールの内服薬、吸入薬の調整を行う必要があるため、翌日の日中にはかかりつけを受診してください。
発作がないときの治療:
言うまでもありませんが、発作がないときの治療が、発作を繰り返さないためには一番大事です。
喘息の重症度によって変わりますが、低年齢ではロイコトリエン受容体拮抗薬と呼ばれる抗アレルギー薬(オノン・シングレア・キプレスなど)幼児〜学童期には吸入ステロイド薬から開始することが多いです。効果が弱い場合にはステロイド薬の内服を併用する場合もあります。
良くなったからと言って、医師の指示がないのに薬を自己中断することは絶対にやめてください。
良い喘息の薬がいくつか出てきているためか、日本の喘息死はかなり少なくなってきました。しかし、気管支喘息の最も怖いところは、狭くなった気道に繰り返し炎症が起こると、気道の壁がどんどん厚くなり、狭くなったところがもとに戻らなくなってしまう、「気道壁のリモデリング」とよばれるものがある点です。
気管支喘息の発作のコントロールが良いお子さんであれば、体が大きくなるにつれて、気道も太く大きくなります。そのまま大きくなれば、徐々に気管支喘息の炎症も生じなくなり、服薬をしなくてもよい寛解状態に至ることができます。
しかし、コントロールが悪く、何度も発作を繰り返す場合、気道粘膜の線維化、(気道を覆う)平滑筋の肥厚、粘膜下腺過形成などにより、気道壁の肥厚が起こり、一生回復しない気流制限が生じます。そのような状態にならないよう、「発作が生じないように」コントロールが必要です。ご家族の協力がなければ、治療を継続することはできません。
また、親の喫煙が子供の喘息に影響していることは明らかなので、お子さんが喘息を持っているご家庭で、喫煙者がいる場合には即やめてもらってください。それだけでも発作頻度が大きく変わってくると思います。
その他アレルゲンの除去や、回避も大事です。清潔に保ち、通年性のアレルギーがある場合にはそのための高ヒスタミン薬の内服も合わせて継続していくことが重要です。
ぜひともかかりつけの先生と協力して、長期的コントロールをしていってください。
当ブログでも直接コメントいただければ対応いたします。よろしくお願い申し上げます。
ここまで読んでくださってありがとうございました。
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どうぞよろしくお願い申し上げます。
小児科医あきらでした。
2019/6/14