こんにちは、小児科医あきらと申します。
今回は前中後編で「夏風邪」に関してです。
小児科でいうところの「夏風邪」とは、下記流行性疾患、いわゆる①プール熱(咽頭結膜熱)、②ヘルパンギーナ、③手足口病の3つの疾患を指します。
それぞれの感染症に関して記載いたします。 今回のテーマは後編:③手足口病です。
それぞれ、①定義と原因 ②症状 ③治療 ④治療後の見通し
にわけてお話しようと思います。
「手足口病」
①定義と原因
口腔粘膜および四肢末端に現れる水疱性の発疹を主症状とする、幼児を中心に流行するウイルス性感染症です。
原因の殆どがコクサッキーウイルスA16とエンテロウイルス71です。
②症状
大抵発熱はきたしませんが、微熱を生じる場合もあります。
手足口病と名のつく通り、手の甲や手掌、足底、足指、口腔内や口唇周囲に発赤・発疹を認めます。
なお、非常に稀ではありますが、手足口病に合併して髄膜炎、小脳失調、脳炎などの神経合併症をきたすことがあるため、3日以上続く発熱や、強い疼痛、繰り返す嘔吐を伴う場合には注意が必要です。
③治療
幼児期で、経口摂取ができなくて脱水に至っていると考えられる場合には補液が必要となる場合がありますが、基本的には自宅経過観察で問題ありません。
口腔内病変によって痛みが出る場合があります。疼痛が強い場合には解熱鎮痛薬を用いる場合もあります。刺激の強いものを与えるのは避けてください。
④治療後の見通し
発熱は1-2日で治ります。発疹に関しては1週間程度で消失します。
接触感染を防ぐためには手洗いの徹底や排泄物の適切な処理が必要となります。しかし、合併症がなく、元気があれば登園登校は問題ありません。
ウイルスは感染後6週間、時には数ヶ月間、便中に検出されます。咽頭からのウイルス排出の期間は一般的に4週間以内とされています。ウイルスの排泄期間が長く、その間の感染予防のための集団生活の禁止は現実的ではありません。
最後に
一度病院で手足口病の診断となっていても、同じ発熱の経過で、持続期間が3日を超えたり、意識が悪くなったり、痙攣を引き起こす場合には速やかに病院を受診してください。
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どうぞよろしくお願い申し上げます。
小児科医あきらでした。
2019/6/20