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【小児科医の提言】RSウイルスってなに? 急性細気管支炎、主にRSウイルス感染症に関して

はじめまして、小児科医あきらと申します。

今日は「急性細気管支炎」主にRSウイルス感染に関してご説明します。大事なことを一番初めに記載しますのでご確認ください。

RSウイルス感染はときに呼吸困難が増強して死亡することもある感染症です。

乳幼児、特に6か月未満のお子さんが、RSV流行期(夏場から冬にかけて)喘鳴(ぜーぜーすること)、咳嗽、鼻汁、発熱が続いて苦しそうな呼吸をしている場合には早めに近くのクリニックを受診してください。周りの流行状況が迅速検査実施のきっかけになることもあるので、保育園や幼稚園でRSウイルスが流行していた場合にはそのことを受診時に医師に伝えてください

経過が長くなり、入院が必要となる全身状態に至ることも珍しくありません。外来でみても大丈夫と判断されたお子さんでも半日1日経過後には酸素が必要となる状態に陥る場合もあります。

 

「急性細気管支炎」に関して、

①定義 ②原因 ③症状 ④検査・治療 ⑤初期治療後の見通し

に分けてご説明します。

①定義

細気管支炎とは、気道で言うところの「細気管支」と呼ばれる、解剖学的に気管、気管支よりももっと肺に近い部分の気道の炎症を指します。

冬季に多いですが、最近では7月末頃から流行しだす地域もあるため、注意が必要です。

乳児期では最も頻度が高く、重要な呼吸器疾患です。

 

②原因 

原因としてはウイルス性のものが多いです。最も重要なのはRSウイルスです。世界中のほとんどすべての小児が2歳未満のうちに感染しますが、6ヶ月以下の乳児では重篤化することがあり、再感染も多く、年長児の長引く咳の原因となることもあります。

その他、パラインフルエンザウイルス、インフルエンザウイルス、ライノウイルス、アデノウイルス、ヒトメタニューモウイルス、ボカウイルスなどが原因となります。

 

③症状 

軽く経過する場合から重篤な場合まで様々です。乳児で気をつけなければならないのは無呼吸です。無呼吸症状が続く場合には気管内挿管が必要だったり、持続陽圧換気の適応を考慮しなければならないので、最初に述べたように早めに病院を受診していただきたいです。 基本的には鼻汁や咳嗽といった症状に引き続き、呼気性喘鳴(ぜーぜーヒューヒューすること)、多呼吸、陥没呼吸(胸をベコベコ凹ませながらこきゅうすること)がみられます。 時々喘息との区別をつけるのが難しい場合があります。高熱が続いたり、うめき声やチアノーゼが出現することもあります。

 

④検査・治療

バイタルサイン・身体所見を評価し、ウイルスの迅速検査採血検査、レントゲン検査、採血検査の必要性を考慮します。ウイルスの迅速検査は、感度特異度ともに高く、診断に有用です。しかし、保険算定の問題で、1歳未満の乳児、入院適応があるお子さん、あるいはパピリズマブという、抗RSウイルスヒト化モノクローナル抗体と呼ばれる、抗ウイルス薬の適応があるお子さんに実施することとなっています。

パピリズマブの適応に関しては長くなるため詳細は省きますが、RSウイルスに罹患した場合に重篤化するリスクが高い早産児や先天性心疾患のあるお子さんに使用し、RSウイルスの罹患を予防します。予防薬あるじゃん、と思った方いらっしゃると思いますが、薬価がべらぼうに高く、本当に予防が必要なお子さんに絞って使用するように、と適応が厳しく決められています。

つまり、1歳以上のお子さんで、RSウイルス感染があったとしても、RSウイルスの迅速検査は「入院適応がある」と判断される場合にのみ実施することが一般的です。

 

6ヶ月未満の乳児で、細気管支炎の可能性が強ければ、入院施設のある病院への紹介が必要になります。

6ヶ月以上であっても、呼吸状態によってはクリニックでフォローできない場合もあります。

外来で治療を継続する場合でも頻回の外来受診が必要となります。

 

治療としては、

経口摂取ができない場合→輸液

低酸素血症がある場合→酸素投与

鼻づまりがひどい→鼻吸引

などの対症療法の実施で自然軽快を待つほか、有効な治療は存在しません。

ステロイドの吸入や、交感神経刺激薬の吸入も、有効性が認められたとの報告は現時点でありません。

3%食塩水吸入により、入院率の低下や入院期間の短縮が認められたとの報告があり、僕が勤務する病院でも実施していますが、現時点で有効性については議論が続いているところです。

細菌感染の合併が示唆される場合には抗菌薬投与を行う場合があります。診察、検査結果を踏まえて医師が判断します。

 

⑤治療後の見通し(予後)

治療後に関してです。予後としては一般的には良好です。

無呼吸を呈する場合には死亡例も報告されており、慎重な呼吸評価が望まれます。

また、RSウイルス罹患後に反復する喘鳴や、喘息症状がみられることがあります。

 

最後に

RSウイルス怖い!となったかもしれませんが、1歳を超えているお子さんや、大人でRSウイルス感染が生じた場合、多くは「熱と鼻水と咳が少し長引くウイルス感染」で済むことが多いです。

 

とにかく、強い呼吸困難、多呼吸、鼻翼呼吸(呼吸のときに鼻の穴を大きくしたり小さくする)、陥没呼吸(呼吸のたびに胸がべこべこ凹む)、指先や唇の色が青紫になる、ミルクの飲みが悪い、などの症状が出現するようなら、入院適応がある場合が多いです。すぐに医療機関受診をしてください。

 

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どうぞよろしくお願い申し上げます。

小児科医あきらでした。

 

参考文献

小児疾患診療のための病態生理

小児内科46巻 増刊号2014

小児の薬の選び方・使い方4版 横田俊平著