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【ある小児科医の提言】熱、口と目と手の赤み、首の痛みと発疹 川崎病について 中編

こんにちは、小児科医あきらです。
前々回、川崎病の診断に関しての記事を書いてみましたが、今回は治療に関して解説していきます。前後編に分けるつもりでしたが、内容が増えてしまったため、前中後編になります。  
前編はこちらです!

 

drakira.hatenablog.com

 

ガイドラインにかかれている川崎病の治療アルゴリズムがとてもわかり易いので貼っておきます。
基本はこのフローチャートに法って治療を行います。各施設や実施している臨床研究などによって異なりますが、大まかの流れはどの施設でもこちらに沿っているはずです。
 
 

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川崎病急性期治療のガイドライン平成24年改訂版
 

初期治療

前回も書いたとおり、川崎病で防がなければならないのは冠動脈の病変です。急性期の強い炎症反応を可能な限り早く終息させるために治療を行います。まずは免疫グロブリン 持続静注とアスピリンの内服を開始します。

初期治療不応例の治療選択

初回のIVIGに反応しない、つまりは治療開始後48時間の時点で熱が再燃している症例の場合には、上のフローチャートに沿って治療を選択します。
 
①免疫グロブリン追加投与
②静注用メチルプレド二ゾロンパルス(IVMP)
③プレドニゾロン(PSL)
④インフリキシマブ
⑤ウリナスタチン
⑥免疫抑制剤 (シクロスポリンやメトトレキサート)
⑦血漿交換
 
現時点ではIVIGの追加投与が一般的ですが、他治療を併用する場合もあります。
では各治療に関してご説明します。

免疫グロブリン(IVIG)

現時点で最も信頼できる抗炎症療法です。2g/kg(体重)のIVIGを持続静注します。
有用性は高く、安全性も高い薬ですが、確認しなければならない点があります。
投与中は急激な容量負荷による心不全の発症、心機能低下、アナフィラキシーに留意します。また、頭痛や息切れ、血圧の変動や食欲不振など多岐にわたる副作用があり、注意が必要です。
また、IVIGはヒトの免疫グロブリンから精製する薬剤であり、各種ウイルスに関しての検査は十分に実施し、ウイルスの検出がない血漿を用いて作られます。過去の経験上、投与後に感染が発生された報告はありませんが、現在の医療レベルでわからない未知のウイルスがあった場合、感染してしまう可能性がゼロではないことを知っていただく必要があります。
 
軽症例以外の治療は発熱から7日目以前に免疫グロブリン(以下IVIG)の投与が開始されることが望ましいです。組織学的に冠動脈に炎症が出始める8-9日目以前に治療を行います。
80%近くの症例で免疫グロブリンの治療が終わって48時間以内に37.5℃未満に解熱します。のこりの20%程度の症例では追加治療が必要です。
このIVIGの治療に不応(効きにくい)と考えられる症例を予測するスコアがあります。
群馬大学(小林ら)のスコア  
血清Na 133mmol/l以下 2点
治療開始病日 第4病日以前 2点
AST 100IU/l以上 2点
好中球比率 80%以上 2点
CRP 10mg/dl以上 1点
血小板数 30.0☓10^4/mm^3以下 1点
月齢 12か月以下 1点
この合計点が5点以上であれば、IVIGの不応リスクが高いと考えられます。

アスピリン

アスピリンは、血小板凝集抑制作用と抗炎症作用があります。
IVIGと並行して30mg/kgで内服を開始します。解熱得られて48-72時間経過してから5mg/kgの1日1回の内服に減量し、その後継続します。冠動脈瘤などの合併症がなく経過した場合には2か月程度で内服は終了します。 

 

まとめ 

と、IVIGに対して反応性が良い場合にはここまでの治療で済みますが、中にはそうでない症例があります。 
後編へ続きます。