小児科医からこれだけは言わせて

写真が趣味の小児科医が小児臨床の現場のことやカメラのことを記載していく

\ Follow me!! /

【ある小児科医の提言】子どもが耳を痛がっている!急性中耳炎の治療についてのまとめ

こんにちは、今回は急性中耳炎に関して記載していきます。小児急性中耳炎の診療ガイドラインが2018年に新しく改訂されていたので、その勉強がてら内容をシンプルにまとめていこうと思います。

 

f:id:shounikaiakira:20190716022104p:plain


どちらでも大丈夫です。何度も何度も中耳炎を繰り返しているお子さんの場合には耳鼻科受診をおすすめしますが、初診で耳を痛がっている場合には小児科でも耳は診れます。後に示す重症例では耳鼻科的処置が必要となる場合もあるので、そういったときには耳鼻科外来へ紹介になります。

疾患・病態

ガイドライン上は「急性に発症した中耳の感染症で、耳痛、発熱、耳漏を伴うことがある」と定義しています。

耳の構造は主に外耳・中耳・内耳に分けられ、鼓膜の向こう側で、中耳腔・耳小骨・耳管が含まれる、「中耳」に炎症が起こることで急性中耳炎となります。

上気道炎に引き続くか、あるいは伴って、細菌が鼻の奥の「耳管」と呼ばれる部分を通り、中耳に炎症が波及して発症します。小児では耳管の発達が未熟であり、大人に比べて中耳炎を引き起こしやすく、中には何度も繰り返す場合もあります。

原因となる菌としては喉に常在菌として存在することも多い肺炎球菌インフルエンザ桿菌が最も多く、モラキセラカタラーリスも起因菌として考慮しなければなりません。

炎症が長引いたり、強かったりすると滲出性中耳炎、慢性化膿性中耳炎に移行する場合もあります。

予防

予防として、肺炎球菌ワクチン(PCV)はガイドライン上、有用とされています。(万が一、周りにワクチン恐怖症の方がいたらこっそり教えてあげてください。)

 

診断

直接耳鏡などの器具を用いて鼓膜を観察し、中耳貯留液や炎症性変化を確認して確定診断します。

なお、多くの小児科では耳垢の除去処置ができないことが多く、鼓膜初見が確認できない場合、耳鼻科の先生に診断と治療の必要性を相談することもあります。

ティンパノメトリーを使用すると中耳貯留液の有無を評価することができるので、ガイドライン上は推奨されています。

 

合併症

感音障害を引き起こす場合が多いです。耳鼻科では病変の進展度、重症度を推測するために、純音聴力検査を行う場合もあります。(もちろん言葉を話せない小児では評価できません。言葉を話せる子に限定されます。本稿のタイトルには「耳を痛がっている!」と書いてますが、言葉を話せない子はただ不機嫌なだけです。乳幼児期の発熱では耳を診ることがとても大事です)

 

治療

重症度に応じた治療が求められます。

項目と点数は下記の通りです。

24か月未満は3点を加算

 

鼓膜初見
鼓膜発赤 0点:なし
2点:ツチ骨柄あるいは鼓膜の一部の発赤
4点:鼓膜全体の発赤
鼓膜の膨隆 0点:なし
4点:部分的な膨隆
8点:鼓膜全体の膨隆
耳漏 0点:なし
4点:外耳道に膿汁があるか鼓膜の観察は可能
8点:膿汁のため鼓膜の観察ができない

 

臨床症状
耳痛 0点:なし
1点:痛みあり
2点:持続性の高度疼痛
発熱 0点:37.5℃未満
1点:37.5〜38.5℃
2点:38.5℃以上
啼泣・不機嫌 0点:なし
1点:あり

 

重症度のスコアは、5点以下が軽症6~11点が中等症12点以上が重症の分類となります。

 

軽症の場合

抗菌薬を使用せず3日間経過観察し、改善がなければ内服のアモキシシリン(商品名:サワシリン・ワイドシリン)という抗菌薬を使用します。5日間で改善あれば終了しますが、改善なければ感受性を考慮し、抗菌薬変更とします。

 

中等症の場合

第一選択としてアモキシシリンの投与を行います。軽症のときの使用量の倍程度、保険用量よりもかなり多い量を使います。子どもに使う場合、結構な量の粉薬になり、びっくりするかもしれません。軽症例と同様に感受性を考慮し、改善がなければ別の抗菌薬に変更したり、鼓膜切開も行う場合があります。

 

重症例の場合

抗菌薬投与を行い、鼓膜切開ができる施設では実施を考慮します。改善があれば最低5日間の抗菌薬投与を行います。改善しない場合は中等症と同様に別の抗菌薬に変更して対応します。

 

  • 点耳薬

点耳薬に関しては、鼓膜換気チューブの留置などで、中耳腔に薬が入るようなら使用します。鼓膜穿孔がなければ点耳薬は無効です。

 

  • 抗ヒスタミン薬

また、よく風邪のとき小児に使用される抗ヒスタミン薬(ザイザル、アレジオン、ジルテックなど)ですが、中耳炎に対しては有効でなく、ガイドライン上は投与しないことを強く推奨されています。理由としては、抗ヒスタミン薬は、使用することのメリットがなく、眠気や活動性の低下、痙攣に対する悪影響などあり、デメリットしかないためです。

もし処方があるようなら担当医に相談してください。

 

  • 鼻処置

鼻づまりがあるようなら鼻吸引は選択肢の一つです。実施できるなら行ったほうがいいでしょう。

 

  • 鼓膜換気チューブ

治療を行っても反復してしまう中耳炎があります。そういった場合には鼓膜換気チューブを留置することが現在のガイドラインで推奨されています。

 

最後に

以上が急性中耳炎のまとめとなります。

こまで読んでくださってありがとうございます。
これからもシンプルでわかりやすい医療情報のシェアを続けていきます。
もしよければ読者登録・ブックマーク・ブログのシェア・Twitterのフォローいただけると本当に嬉しいです。
どうぞよろしくお願い申し上げます。
小児科医あきらでした。
2019/07/16
 
参考文献
小児急性中耳炎の診療ガイドライン2018
小児科診療ガイドライン 最新の診療指針 第三版