こんばんは、小児科医あきらです。今回は赤ちゃんの口の中にみられることがある「鵞口瘡(口腔カンジダ症)」についてまとめていきます。
はじめに
赤ちゃんの口の中に白いものがついているときは、鵞口瘡かミルクのかすの付着であることが多いです。
ミルクのかすはこすれば落ちます。しかし、鵞口瘡である場合こすっても取れません。
通常は無症状ですが、哺乳量低下を訴えて来院される方もいらっしゃいます。(昨日は「不機嫌で泣き止まない」という主訴で来院された2ヶ月の赤ちゃんが鵞口瘡でした。)
では診断、治療についてお示しましょう。
診断のポイント
ミルクのかすの付着に関してはもちろんですが、治療にあたっても改善が見られない場合には、先天性免疫不全も考慮して精査を行っていく必要があります。
抗菌薬の長期投与や、ステロイド薬の使用により鵞口瘡のリスクが増えるため、薬剤の使用についても確認します。
まずは舌圧子と呼ばれる、喉を見るときに用いる医療器具で頬や軟口蓋についている白斑をこすってみます。それで取れないことを確認し、鵞口瘡の暫定診断とします。
一部の症例では発熱や胃腸症状を起こし,鼠径部,殿部,そのほかの身体部位に波及することもあります。
治療
治療はシンプルに抗真菌薬シロップの内服です。外来ではファンギゾンシロップを1日2−4回、5日間の指示とします。この薬は消化管から吸収されないので、過量投与の心配は要りません。
哺乳瓶や乳首の消毒が十分に行うことは再発や悪化の予防となります。哺乳瓶はこまめに熱湯消毒をするようにしてください。母親の乳首に同じような白班が見られる場合にはカンジダの感染が疑われます。乳首に抗真菌薬の外用をすることで治療できるため、皮膚科への受診をおすすめします。
先程も記載したとおり、治療反応性が不良の場合には先天性免疫不全症である可能性もあるため、精査ができる専門施設への受診が必要となります。クリニックでの治療に反応しない場合には大きな病院へ紹介受診となることもあります。
予防
新生児期の発症は経産道感染がほとんどなので、 妊産婦のカンジダ症を治療して感染を予防することが最善です。
まとめ
鵞口瘡は真菌(カビ)の感染症です。抗真菌薬の使用で軽快しますので、しっかりとお薬を使用して経過を追ってください。
哺乳瓶はしっかり消毒し、お母さんは乳首に感染がないかを確認してください。
口の中に入れてよくなめているものがあるなら、消毒するかなめさせるのをやめていただくほうが望ましいです。
以上が鵞口瘡のまとめとなります。